読書メモ『発達障害フリーランス 属さない働き方のすすめ』

読書メモ「発達障害フリーランス 属さない働き方のすすめ」 読書メモ

『発達障害フリーランス 属さない働き方のすすめ』(著:銀河/翔泳社)を読みました。感想などを記していきます。

書籍概要

書籍名:発達障害フリーランス 属さない働き方のすすめ
著者:銀河
出版社:翔泳社
発売日:2022年08月29日

著者は発達障害(自閉症スペクトラム障害、注意欠陥多動性障害)の当事者で、「発達障害を強みに変える」ことをテーマに活動している方。キャリアアドバイザーをしながら、コミュニティ運営、コーチング、講演などを行っているとのこと。
本書は発達障害の当事者がフリーランスとして働くことについて書いたもの。なり方と利点、注意点、著者や他の当事者による体験談、その他役立つ情報などが書かれている。
A5サイズ・152ページで、黒一色+水色の二色刷り。冒頭に一問一答があったり、重要なところにマーカーが引かれたりしているため読みやすい。

印象的な内容

方向性も決まってないけど、これからフリーランスを目指そうかなと思っていて……という話から始まるため、裾野がとても広い。少しでも興味がある方は全員読める内容。
「なるにあたってどう考えていく? どんな行動をしていく?」も書いてあるし、「もうなっちゃったけどどうする?」についても書いてある。後者はなんというか、発達障害にいかにもありそうなエピソードだな……という偏見じみた感想を持った(自分のことを大いに棚に上げている)。

著者の考えが「発達障害を強みに変える」なので、当然発達障害の特性とその良さについて書いてある。たとえば

「空気を読めないのが利点になることもある。社交辞令を汲み取ろうとして空回りしたり疲れたりするより、真に受けて振る舞うほうがいい結果に繋がることもある。正直な人と思われるし、プレゼンや営業に強い人もいる」

「話が飛ぶのは、ブレーンストーミングにおいては非常に心強いこと」

「こだわりの強さは関心や意思の強さで、ずっとこだわり続けられるのは強み」

などの記述に、視野が広くなった。(※文章は要約です)

ミスを減らしたり、弱みを補ったりする方面の記述も具体的で良かった。
たとえばADHDのライターは校正者と組むことでミスを減らすことができる。忘れ物や落とし物はまず、根本的に物を減らすなど(一方で無くては困るものはあちこちに複数個用意することも書かれている)。
上記のように発達障害に特有の内容もあるが、障害区別によらない、そもそも障害の有無を問わない内容も豊富であると感じた。「自分にとって適切な環境を選べる、やりたいことを実現できるのがメリット」「メンタルの管理が仕事の安定につながる」「生活リズムと睡眠時間が大事」「やりすぎ注意、八割の力でやる」など。

フリーランスを目指すうえでの具体的な情報も載っているのは大変ありがたい話だと思った。開業届を出す半年前から領収書を集めよう! というフリーランス全般のものから、離職前に障害者手帳は取っておこう! という障害当事者特有の事情も書かれている。

感想まとめと余談

ブログを付けるに当たり「発達障害 フリーランス」と検索したら、記事がたくさん出てきて驚いた。少ししか目を通さなかったが、「障害者 フリーランス」より明らかにクリティカルな内容が多い印象だった。この本の書評もあったし、個人の体験談、就労移行支援事業所による記事もあった(個人的にはこれがわりと強めに驚いた)。
非定型の発達は、弱みも強みの裏返しであるということなのだと思う。弱みのぶんだけ強みがあるのだということが理解しやすいのかもしれない。当事者も、周囲の非当事者も。もちろん障害と呼ばれるべき、社会と折り合う上での困難はあるだろうし、その苦労やつらさは、当事者にしか分からないものもあるだろうとも思うけれど。(あと弱みと強みでバランスが取れるという話でもない。社会との折り合い易さの話なので)
障害種別ごとの事情があることがよく分かる本だったし、近接する特性である精神障害当事者にとっても役立つ内容であったように思う。このへんの当事者にはおすすめ。
あとこの本の体験談に出てくる方のyoutubeを見つけられてちょっと嬉しい。動画で発信している方はまた違った方面からの情報が得られるかなと(まだ見られてないけど)。

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